詩集『メアリアンとマックイン』 小原眞紀子・詩 小原憲二・イラスト
版型 A5版変形
造本 平綴表紙くるみ製本
本文 120ページ
ISBN 978-4-905221-00-5
それはペンや鉛筆で描かれる(書かれる)一本の線――「向きと時間」「太さと角度」を持ち、うねりの中に「音楽」を「ひそませ」た初源的なエクリチュールから始まる。線はやがて「生命」を、「少女」と「男の子」を生み出す。メアリアンの名はメアリとアンに、マックインはマックとインに枝分かれし、テキストの尖筆は初源の純真さを保持したまま増殖・分裂してゆく。トリスタンとイゾルデ伝承から受け継いだ「恋の身悶え」はさまざまな引用を孕んで「日本語の身悶え」と化し、透明なエクリチュールは母語の基層に迫る。日本語には「ところどころに穴」があり、「異なる文字に/夷なる言葉に/見とれ」「西方の常世の国に」「恋する」。線画とタイポグラフィを駆使して1400行を超え、女性詩人が日本語で書いた最も長い長篇詩。
1961(昭和36)年
熊本県菊水町に生まれ、生後半年で両親に連れられて上京。
1974(昭和49)年
私立桜蔭中学校に入学。
1980(昭和55)年
慶應義塾大学工学部入学。
1982(昭和57)年
テレビ東京12時間ドラマ主題歌作詞
1983(昭和58)年
復刊『三田詩人』の同人になる。
1984(昭和59)年
数理工学科卒業後、慶應義塾大学文学部哲学科に学士入学。
1986(昭和61)年
青土社「ユリイカの新人」受賞。
1987(昭和62)年
処女詩集『湿気に関する私信』(七月堂)刊行。
1988(昭和63)年
浅見洋二、鶴山裕司と同人詩誌第一次『夏夷』創刊。
「現代詩手帖」等に詩論、その他の雑誌に映画評などを発表。
1990(平成2)年
「三田文学」等に性差論などを発表。
1998(平成10)年
「群像」等に短・中篇小説を発表。
田沼泰彦、鶴山裕司と同人詩誌第二次『夏夷』創刊。
2001(平成13)年
東海大学文学部文芸創作学科で非常勤として「詩学入門」、「詩論と作品」、「文学とセクシュアリティ」の講義を開始。
2009(平成21)年
詩画集『水の領分』刊行。
2010(平成22)年
詩集『メアリアンとマックイン』刊行。
昭和元年11月1日熊本県菊池に生まれる。地元の目抜き通りを所有する豪商、本田家五男一女の次男。実家が破産、転居する。鹿本中学から第五高等学校に入学。小原家の養子となり、熊本大学医学部を卒業後、小原蕗子と結婚。眞紀子が生まれる。蕗子の継母の男児出産を期に、妻子とともに上京、大田区で外科医院を開業。2009年10月31日詩画集『水の領分』刊行。2010(平成22)年 詩集『メアリアンとマックイン』にイラストを描く。そのゲラ刷りを見て、同年10月19日没。享年84歳。